それは暴風雨の夜でした。

家の中にいても外からもの凄い風の音と強い雨音が聞こえてきます。

なかなか怖くて外を覗くことができなかったのですが、主人が、恐る恐る外を覗いてみると突然「あっ!」と大声を上げたのです。

そこには、テラスの手すりに必死でしがみついている一羽の小さなインコがいました。

主人は「助けられるかな・・・、逃げなければいいな」と言いながらそっとテラスに出て、ゆっくりインコに手を伸ばしました。

インコは逃げる様子もなく「助けて下さい」と言っているかのように、主人が手に取るのを待っていました。

無事にインコを手に取り、温かい部屋の中に連れてきました。

びしょびしょに濡れた身体を拭いて丁寧に乾かしました。

インコは、最初はぐったりしていましたが、徐々に生気を取り戻しました。

スマホでインコが食べられるものを調べ、ちょうど小松菜があったので与えました。

小さな息子が、大喜びで「明日、ホームセンターに行って鳥籠を買ってこよう!餌も!」

このどこからか、はぐれてきたインコは、ひとなっっこく、あまりにも可愛いインコです。

家族全員がすぐに、このインコが大好きになり、「ぴーちゃん」と名付けました。

けれども、どこかの飼い主さんの鳥籠から出てきてしまい暴風雨の中迷って、我が家のマンションまで辿り着いたことは間違いありません。

翌日、朝一番で鳥籠と餌を買いに行きました。

そして家族会議で決めたのです。

「最寄りの交番に届けて、飼い主さんが現れなければ、うちで保護して大切に育てよう」と。

息子は、内心、凄く飼いたかったようですが納得してくれました。

そして、すぐそばにある交番まで鳥かごを持って私と息子で届けました。

やはり交番でも、「もし飼い主さんが現れなければ、引き取って頂けますか?」と言われました。

「もちろんです!」と答え、おまわりさんとやり取りしていると、一人の若い青年が、困った顔をして交番に入ってきました。

「うちのインコが鳥籠から出てしまい行方不明なんです・・・」と。

「あ・・・・・・・」、交番にいるみんなが同じ声をあげました。

その若い青年は、飼い主さんだったのです。

ことの経緯を聞くと、突然の暴風雨で、籠を家の中に入れる時に誤ってインコが外に出てしまったのだと。大切なインコで夜通し、周知を探していたそうです。

「ぴーちゃん」は、無事に飼い主のものに戻ることができました。

その青年は、「ひーちゃん」を手に取るなり人目も憚らず涙を流していました。

「カラスや猫にもう食べられてしまったのではないかと胸が張り裂ける気持ちでいました。保護して頂きありがとうございました」とご丁寧な言葉も頂きました。

交番の中にいるみんなが素敵な笑顔です。

夜帰宅した主人にそのことを伝えると、「飼い主が心優しい青年でよかった。だからぴーちゃんもいい子だったんだね」と喜んでいました。息子も、「あのお兄さんのところにぴーちゃんが帰れてよかった(笑)、でもすごく可愛いから飼いたかったけどね(笑)」と。

心根が優しい青年。一人暮らしで、「ぴーちゃん」と一緒に住んでいるとのこと。大切に大切に愛情を持って育てていたことは、ぴーちゃんと接したらすぐに分かります。

なんか、青年の「優しさ」や「愛情」、そして家族の温かさを改めて感じた出来事でした。

ぴーちゃん、ずっと元気でね!

祈っているよ(笑)

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