今回は「赤い糸ってあるんだ!」と思わず納得してしまう出来事についてお話しします。
題目は「落とし物から生まれた愛」。
私の大学時代の仲間である山さんのお話しです。
山さんは、他の大学に在籍していましたが、その大学を退学してうちの大学に入学してきました。
大学では同学年であるものの私よりも1歳年上でした。
その彼が、大学を卒業しとある有名企業に入社したのです。
東京を中心とした首都圏での勤務が続きましたが、係長になるタイミングで茨城(水戸)に転勤となったのです。
今まで足を踏み入れたことのない見知らぬ街でもあり、また、いきなり総括係長(各部署の係長を総括し束ねる立場)といった重圧からくる大きなストレス、社内の不正行為を強要する部長・課長、それを拒否し部長・課長から受ける悪質なパワハラ行為。
彼は部長、そしてその腰巾着の課長から、日々、罵声を浴びながら深夜まで仕事をする毎日でした。
今なら、即パワハラで大問題になっていたことでしょう。
そんなある日、会議中に実家の父親から彼に電話が入ったのです。
「〇〇銀行水戸支店から電話があった。ATMに銀行カードを忘れていたのを届けてくれた人がいたとのことなので、すぐに取りに行ってくれ」というものでした。
※山さんは転勤で水戸に来ていますが、銀行カードの登録電話番号は実家の番号だったため実家に電話があったそうです。
会議が終わると彼は、すぐに〇〇銀行水戸支店に行き、無事にカードを受け取る事ができました。
朝、慌てて銀行ATMでお金をおろし、その際に置き忘れたとのこと。
銀行員からは、銀行カードとともに拾って頂いたかたのお名前と電話番号が書かれたメモが渡されました。
拾ってくれたかたは女性でした。
彼は、その夜、帰宅後、お礼の連絡を彼女に入れました。
相手の女性は、電話ごしでも優しく穏やかな話し方で、同じく東京から転勤で水戸に来ており〇〇証券の社員のかたでした。
なぜか、電話で話が盛り上がり、「せっかくのご縁ですし仕事終わりにでもお食事でもしましょうか」「僕もお礼したいのでお食事でも、ぜひ」となったそうです。
後日、仕事終わりに水戸駅そばの和風居酒屋前で待ち合わせ、初めて2人は対面しました。
相手の女性は、優しそうなほっとできる素敵な女性だったと言います。
お店の中で、水戸料理を摘まみながらお酒を飲み、会話もとても楽しく思い出に残る夜になったそうです。
そして今、山さんと彼女は、結婚。山さんに瓜二つな顔をした一人息子とともに幸せな家庭を築いています。
「国民教育の師父」とも言われる大教育者であり、哲学者でもある森信三先生が、こんなことを言っています。
「人間は一生のうちに逢うべき人には必ず逢える。しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎないときに。しかし、うちに求める心なくば、眼前にその人ありといえども、縁は生じず」と。
上司とうまく行かず、仕事に悩みながら(退職を考えていたとのこと)苦しんでいた時、励まし合えるパートナーとの運命の出会いとなったのです。
彼女は、彼よりも2歳年上で社会人の先輩として、彼を励まし支えてくれたそうです。まさに幸運の女神です。
また、100人を超える水戸の同僚たちは全員、外もの(水戸出身者でなく東京から来た人間)である山さんが、社内不正行為の強要を断固拒否し、一人孤軍奮闘で戦い、パワハラを受けまくる姿を心配。全員が山さんの援軍に回ってくれたそうです。
最終的にその部長・課長は、山さんの前任者にも、あたりまえのように社内不正行為をさせていたこと、山さんへの不正行為の強要、パワハラ行為、等諸々の不正が発覚。本部から本社にも報告が行き、部長・課長の2人は降格・左遷の処分とされました。
銀行カードが、ふたりの運命の赤い糸を紡ぎ、彼は苦難を乗り越えて、家庭という幸せを手に入れたのです。
苦難にも負けず、頑張って生きている人には、神様が幸運を手繰り寄せてくれるのかもしれません。山さん、末永くお幸せに!!
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