昭和までは、嫁入り前の娘さんは、お茶やお華のお稽古事をするのが日常的でした。
実は、これは、単にお茶が作れるように、とか、生け花ができるようになるということが目的ではありません。
茶道も華道も、「禅」から派生しています。
一般的に、心を整えれば、呼吸も整い、身体も整うものだと思いがちですが、「禅」では違う考え方をします。
「調身・調息・調心」といい、人は、まず身体(姿勢)を整えることが大切で、そうすると呼吸が整う。
呼吸が整うと心が整うという考え方が基本となります。
よって、座禅で背筋を伸ばし、鼻から空気を吸って、口から細くゆっくり空気を出す。実際に真剣にやってみると気持ちが落ち着き、心も身体もすっきりする実感を持つことができます。
多くの著名な経営者や総理大臣(元総理の中曽根康弘先生・安倍晋三先生等)が「座禅」を行っていたことは有名な話ですが、日常多忙な中でも「座禅」を欠かすことはなかったといいます。
「禅寺」の修行層、すなわち「雲水」といわれる人々は、朝起きてからの一日を毎日同じスケジュール、所作で過ごします。
実は、人が一番苦手なのが習慣化なのです。
雲水たちは、顔を洗う時も、お掃除をする時も、食事を頂く時も、入浴の時も決まった所作を守り、「読経」「座禅」を行い、同じことの繰り返しの毎日を過ごしていきます。
修行ですから、朝も早く起きなくてはなりませんし、強い心を持っていなければ脱落してしまいます。
しかし、そのような行いのなかで、自分自身を磨き、美しい所作、そして人間としての徳を学んでいくのです。
すなわち、「自己鍛錬」「自分磨き」を永遠と行っているのです。
鎌倉時代に禅宗(臨済宗)と共にお茶を持ち帰った栄西により、禅宗と共にお茶も全国的に広まりました。
日本製の茶道具を使用し、亭主と客人との精神的な交流を重んじる「わび茶」を村田珠光が成立させ、その後、村野紹鴎が受け継ぎ、その弟子の千利休が安土桃山時代に「わび茶」を完成させました。それが今の「茶道」「茶の湯」の礎となったと言われています。
華道のルーツは、室町時代になって明から到来した青磁の香炉、花瓶などを室内に飾るようになり、その花瓶に花を飾る花合わせという遊びがはやり始めました。その中で、京都にある六角堂の僧が飾る花が美しいと評判になります。この僧が「池坊専慶」です。そのあとを継いだ池坊専応が「挿花は野山水辺をのづからなる姿の表現」と思想的な面を含んだ理論を確立させていきました。これは今の華道の始まりです。
茶道も華道も厳格なルールがあります。居住いを正し、自分を律する、人としての成長を促すのが「茶道」「華道」です。
禅を支柱とし生まれた「茶道」「華道」」の世界は奥深く、日本人にとって大切にすべきものだと思います。
結婚前の娘さんたちが、「お茶」や「お華」のお稽古事をした背景には、結婚後の家庭生活や家をしっかり守れるような女性になるための修練の場でもあったのです。
今も「お茶」や「お華」のお稽古をされている女性もいらっしゃいますが、歴史が作ってきたシステムって凄いな、と思います。
令和の花嫁修業の定番の中には、「料理」「着付け」等も入ってくるでしょう。また、大人のたしなみとして身に付けたい習い事としては、マナー教室等もありますね。
素敵な自分、結婚後の家庭をお相手と共に支え合える自分、そんな自分になるための努力は惜しむべきでありません。
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