江戸時代の婚姻システムは、地域社会の結びつきや家族間の縁組が中心であり、結婚は個人の意思だけでなく、家族の社会的地位や経済力が重視され、縁談は家族同士の合意によって進められた。一般庶民の場合、結婚相手は主に同じ地域や同じ社会的背景に属する人々から選ばれ、地域内での縁組が主流であり、異なる地域や社会階層からの結婚は稀であった。

昭和初期から戦後までは、親や知人の紹介による「お見合い」や地域のおせっかいおばちゃんの仲介により縁談・縁組が進められ結婚に至るケースが多かった。

その後、高度経済成長期を境に、都市化や産業化が進展し個人の経済的自立や社会的移動が可能となった。これにより、結婚相手の選択肢が広がり個人の性格や価値観、趣味などが結婚相手の選定に影響を与えるようになり恋愛結婚が増えてきた。

現在では、個人の自己実現や幸福追求が重視され、結婚相手の選択権が個人に与えられている。結婚は個人の選択として捉えられ、相手の性格や価値観、趣味などが重要視されるようになった。

また、インターネットの普及により、オンラインでの出会いやマッチングサービスが一般化。地域や社会的背景にとらわれず、個人の好みやニーズに合った相手を探すことが可能となった。性別や性的指向、経済的地位などに関わらず、様々な形態の結婚が認められるようになり、同性婚や国際結婚など、従来の枠組みを超えた結婚が増加している。

しかし、興味深いのは、近年、婚姻率の低下傾向が続いていることだ。結婚するか否は、個人の選択の時代になったことから、結婚しない選択肢を結果として選ぶかたちになる人が増加傾向にあるということを意味している。

今までの婚姻システムの変遷を見てみると、高度経済成長期までは、年ごろ(当時の年ごろは今より若い)になると親・知人や地域の中で「縁談」「縁組」が盛んに進められ、社会全体が結婚しやすいシステムにあったと言える。

しかも、特に女性は、20代半ばには、結婚適齢期とされ盛んにお見合いが行われていた。個人の意思に反するケースも多々あったかもしれないが、その後の夫婦生活は、恋愛結婚とも変わらず、生涯を共に寄り添い人生を全うしている。

しかし、現在は、自由恋愛が普通の時代となって久しく、更に、オンラインでの出会いやマッチングサービスが一般化し自由恋愛に拍車がかかっている。出会いの機会は過去類を見ないほど大幅に増加し、容易に見知らぬ異性と出会えるようになった。

普通であれば、高度経済成長期以前よりも、結婚がしやすくなり離婚率も減っているように思えるが実態はそうなってはいない。

その要因については色々な考え方があるが、親や知人、地域のおせっかいおばちゃんが、この人とこの人は絶対合うし、幸せになれると確信した縁談・縁組は、案外いけていたのではないかとも思わざるを得ない。

現在は、お相手選びが、近視眼的になってしまうシステムであり、逆にそのため結婚がしにくくなっているのではないか。

以前は、親や知人、地域のおせっかいおばちゃんが、婚活マネージャーとして守ってくれていたこと、更に婚活に一定の期限(適齢期と言う概念)を設けており、自分の周りの社会環境もそれを後押しするシステムとなっていたことが結婚しやすい状況を作っていたのではないか。

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